これの続き。
前回は、「歴史秘話ヒストリア」(ウルトラマンと沖縄~脚本家・金城哲夫の見果てぬ夢~)という番組内で、
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(NHK総合 2010/09/15 22:00~22:45)
語られた金城哲夫の人物像には、疑問を呈する人が多かった、という話まで。
最初に意見を表明したのは、ひし見ゆり子氏で、
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「NHKの番組じゃ、ああいうまとめ方も、しかたない」
と理解を示しながらも、
「自分の知っている金城哲夫の人物像とはかけ離れている」
と述べ、当時を知る古谷敏氏もまた、同様の感想だったとのこと。
そのため、「徹底検証! ぼくらのウルトラマン伝説」
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(BS日テレ 2011/01/01)
は、「ヒストリア」への反証めいた内容も盛り込まれ、
金城氏と同郷の上原正三氏(なぜか御本人の意向で、声のみの出演)は、
「金城氏は戦争(や出身地である沖縄の影)を引きずっていなかった」と証言、
ひし見氏らも異口同音に、楽天的で明るかった、金城氏の人物像を改めて語る。
そして「ノンマルトの使者」には、沖縄人としての金城氏が反映されているよりは、氏の宇宙観とかSF観が反映されているのでは、と結論づけられる。
この「ヒストリア(NHK)」と「ウルトラマン伝説(民放)」の人物観の違いは、何に起因するのか?
それはNHKの番組作りに、世相や時代との関連づけの視点はあっても、SF観は皆無だからで、それは「金城氏の沖縄引きずり説」の裏打ちに借り出された市川森一氏もまた、金城氏ほどのSF観には達していなかったからだと思われる。
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ではその「SF観」とは?
それは「ウルトラQ」が、制作当初に参考にした、アメリカのテレビドラマ『トワイライトゾーン』(1959~1964)のメインライター、ロッド・サーリング的なもの、つまり現代の人類ではなく、未来の人類が直面するかもしれない問題を語るということである。
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たとえばサーリングの脚本の「猿の惑星」(1968)
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未知の惑星に不時着したテイラー船長は、部下の隊員から、元の時代には戻れないのが確実なこの任務に志願した理由を問われる。
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テイラーは答える。
「時代に絶望したからではない。広い宇宙には、地球人より知的で高等な生命体がいるはずだ。それがどんなものか、会える機会に賭けてみた」
“I’m a seeker too. But my dreams aren’t like yours. I can’t help thinking somewhere in the universe there has to be something better than man. Has to be.”
テレビ放送ではカットされるこの部分があってこそ、後にこの星の支配者が、ほかならぬ類人猿(ゴリラ)だった時の、テイラーのガクゼンとした表情が効いてくる。
現時点では、地球人が、自分たちより高度な生命体を自ら探しに行くという状況は訪れていないから、SFだけがこの問題を考えられる。
ひるがえって、ウルトラマンの第33話「禁じられた言葉」
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メフィラス星人は、正体がウルトラマンであるハヤタに対して、「お前は地球人か、宇宙人か」と問い、ハヤタは「両方さ」と答える。
または、ウルトラセブンの第42話「ノンマルトの使者」
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地球人は、実はノンマルトと呼ばれる先住種族を海底に追いやっていたことが判明。
地球人を侵略者の魔手から救うべく地球にとどまっていたセブン(モロボシダン)は、実は侵略者だった人類につくか、それとも海底に追放されたノンマルトにつくかの選択を迫られる。
つまり、侵略する側、される側という観点だけなら、沖縄という特殊な事情があてはまりもするだろうが、ウルトラマン(ハヤタ)でもウルトラセブン(モロボシダン)でも、彼らが問われ、直面している問題は、侵略する側でも侵略される側でもなく、どちらかに加担する第三者という、現時点では地球人にありえない立場なわけで、これこそがSFの発想といえる。
というわけで、こと「禁じられた言葉」「ノンマルトの使者」に限れば、金城氏が沖縄出身だと言うことよりも、氏のSF作家としての資質の方が、よほど大きく反映されていると思われる。
フッ、ひさびさにマジメに語ってしまったぜ。
次回は、ではなぜ、非凡なSFマインドあふれる金城氏が、晩年は報われなかったについて。
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私の作品のいくつかは、今の我々ではなく、未来の人類が直面すべき問題を取り上げています。
ファミリアー 歌姫の死と再生
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ルインズウォー(遺跡戦争)
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だってそれが、SFだから!