久々にこれ(光の国に屈したヒーローたち〈予告篇〉)の続き。
その〈予告篇〉でかなり反響のあった、
初代ウルトラマンの元ネタ、
「三部構成バレエ」Triadisches Ballett / Triadic Ballet は、
↓この動画で初めて知りました。
3:40あたり。
また、マンのマスク造形について、成田亨が語った場合も、
このバレエには一切言及がなかったことを、
一応、申し添えておきます。
ではいよいよ今回の本題、
円谷プロの特撮巨大ヒーローでもないくせに、
ほぼ同じスタイルでテレビに登場した、
パチモン臭と、なりすまし感漂うヒーローを振り返る第1弾、
のぞき穴が眼球の中心にない、
マン系篇です。
サンダーマスク(1972-73)
『サンダーマスク』は、1972年(昭和47年)10月3日から1973年(昭和48年)3月27日まで日本テレビ系列局で放送された特撮テレビ番組、およびその劇中に登場する変身ヒーローの名前である。
東洋エージェンシー(現・創通)とひろみプロダクションの共同製作。全26話。放送時間は毎週火曜 19:00 - 19:30。
↓エラが張り気味の四角い顔に、目の周りを立体の輪郭で囲み、
↑耳たぶの下端が円形と、半年前から放送開始されていた、ウルトラマンエースに酷似。
テレビ放送と並行して、手塚治虫による漫画版が『週刊少年サンデー』で連載されていた。
手塚治虫が原作者と思われがちだが、旧知だったひろみプロダクションの依頼によるコミカライズ作品として描かれたものであり、その内容はテレビ版と大きく異なっている。
テレビ実写版サンダーマスクは、
↓カラリングこそ熱帯雨林のカエルみたいだが、
↑マスク造形は手塚マンガ版よりも、エースの方に寄せまくっている。
とにかく当時は、特撮ヒーローと言えばウルトラマンだったんで、
↑サンダーマスクと同時期デビューのヒーロー達。
造形やスーツ製法はそちらに準じ、
カラリングは71年の春から台頭して来た等身大ヒーロー、
「仮面ライダー」のレッドとグリーンにあやかったんだろう。
テレビ版はひろみプロ・東洋エージェンシー(現:創通)の両者が連名でクレジットされているにもかかわらず、放送終了後、東洋社員が制作会社を訪れ、一方的な形でマスターを引き上げた。地上波では1994年3月、中京テレビ『今甦る!昭和ヒーロー列伝』で抜粋した3話分を放送したのを最後に、「マスターは状態が悪い」、「ネガならある」、「全て存在しない」と創通側の説明が二転三転。本作の権利が分散し、各会社の権利と利害が発生することも含め、現段階で創通のみの判断では再放送やソフト化して市場に流通販売できない、いわゆる封印作品と化している。
1994年3月27日放送の『今甦る!昭和ヒーロー列伝』では、第1話、第13話、第26話の計3話が放送された。
この他、第1話、第3話、第6話、第7話、第12話、第19話、第26話の再放送を録画した映像が古くからマニアの間で流通しており、現在では『ヒーロー列伝』放送分と合わせた合計8話分がマニア間で出回っている。
1989年6月11日放送の『テレビ探偵団』(ゲスト:デーモン小暮)では本作第26話の映像が紹介された。
お次は、目がバイザーに覆われているため、
マン系なのかは定かではないが、
前後の流れで、ここで触れておくのが収まりの良い、
ゴッドマン(1972-73)
「行け!ゴッドマン」は、東宝が制作し、1972年10月5日から1973年9月28日まで、日本テレビ系の子供番組『おはよう!こどもショー』内で放送された、東宝企画製作の特撮コーナードラマで、「ゴッドマン」はその番組に登場するヒーローの名前。放映時間は1回当たり5分間、1週間・6回または3日・3回で1話完結のスタイル。全52話・260回。
●『おはよう!こどもショー』内の1コーナー
●5分の帯番組ということは、
↓円谷プロの「レッドマン」(左)の後番組だったので、
ヒーロー名のゴッドマンも、スタイルもカラリングも踏襲しているが、
↑ゴッドマンは東宝“制”作、東宝企画“製”作で、
↓「快傑ライオン丸」(左・1972)や
↑「白獅子仮面」(右・1973)みたいな、
白い髪の毛が、フサフサ生えている。
またゴッドマンには、明確な三角形の鼻が造形されていて、
↓円谷初の「鼻のあるヒーロー」、ミラーマン(1971)とほぼ同形だが、
口の幅は広く、やはり円谷プロのジャンボーグA(エース 1973)に近い。
↑目がバイザーに隠れているのは、10年後の円谷キャラ、アンドロマルス(1983)に通じる。
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流星人間ゾーン(1973)
『流星人間ゾーン』(りゅうせいにんげんゾーン)は、1973年(昭和48年)4月2日から同年9月24日まで日本テレビ系で毎週月曜日19:00 - 19:30に全26話が放送された、東宝映像制作の特撮テレビドラマ、およびそれに登場する架空のヒーロー。
↓今の俳優なら、勝地涼みたいな顔つきのゾーンファイターは、
頭部造形やスタイルは、ウルトラマンならティガ(1996)に最も近く、
↑以下のような経緯から、ウルトラマンエースのリファイン(改善)的な雰囲気もある。
本編監督以外のスタッフの多くは、前年放映の『ウルトラマンA』に外注制作スタッフとして関わっており、怪獣(本作では「恐獣」)の声などの効果音は東宝作品のみならずウルトラシリーズからも流用されている。それもあってか3話以降劣勢時のゾーンファイターの声は、ウルトラマンAのそれ(納谷悟朗版)であり、飛行時の声も同じくAのもの(中曽根雅夫版)だった。また、1クール目のオープニング映像は光学合成の背景にメカ・登場人物がかぶさる、ウルトラシリーズタイプのつくりになっている。
つまり「ゾーン」は、特撮スタッフ的には、「エース」の後継作品で、
同時期放送の本家「ウルトラ」シリーズ「タロウ」の作品トーンが、
「エース」から一変したのには、このことも関係していると思われる。
ある意味、「ウルトラマンA(エース)」の後継作は、
次回作「ウルトラマンタロウ」ではなく、
他社作品の「流星人間ゾーン」だったという事実に、
↑防人(さきもり)3兄弟も、当事者のタロウもビックリ!
↓流星ミサイルマイトに代表される、ゾーンの火薬(火花と煙)中心の必殺技は、
煙が盛大に発生するエースの特殊効果シーンを引き継いでおり、
↑光学合成中心のタロウの必殺技とは、趣が異なる。
「流星人間ゾーン」は、「行け!ゴッドマン」に続く、
広義の東宝作品である強みを生かし、
東宝怪獣映画から、ゴジラ、キングギドラ、ガイガンが客演している。
かくして、↑初代マン対ジラース以来、7年の時を経て、
テレビ巨大ヒーローとゴジラの共演が、
“正式に”実現したのであった。
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——と、今回は、こんなところでいかがでしょうか?
光の国に屈したヒーローたち、
次回は〈セブン系篇〉の予定です。
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