前回の3話の感想は、一部の「2199」ファンの神経を相当に逆なでしたらしく、
1.「そんなに文句があるなら、見なけりゃいいだろ」
2.「オススメできない作品のアフィリエイトを、なんで貼る?」
等のご意見をいただいたので、まずはそれについての説明です。
まず、そもそも「2199」の感想は、劇場限定公開の時にやってたんですが、
その時点で反発があった。
「外野でエラソーに言ってるお前なんかより、実際に作り上げたスタッフの方が、数億倍立派だよ」
と言われ、結局その人とは、意見の一致を見ることはなかった。
で、まだこの先も劇場限定公開とか、ソフト発売が続くタイトルについて、褒めるならともかく、否定的な意見は、多少なりとも商売のジャマになるかなとも考えた。
個人ブログで、どんな意見や感想を表明するのも全く自由なはずではあるが、そもそも同タイトルの後続エピソードを、カネを払って見続ける機会にも恵まれなかったので、中断したままになった。
とはいえ、やりかけたことを途中で投げ出したくない性分でもあり、自分の中では、何かの機会に再開すべき、「つづく」企画ではあった。
そしたらテレビ放映が始まった。
現時点で1~4話までは、
劇場公開が終わり、
ソフトが発売され、
テレビ放送は、いってみれば最終報告みたいなもんで、基本的にこの後に新発表の手立てはない。
さすがに、もはや商売のジャマにはならないだろう。
テレビで広い視聴対象に向けて作品を送り届けたら、
賛辞もあれば苦言もあるはず。
見た人全員が大絶賛なんて、ありえない。
今なら否定的な意見を表明したっていいではないか。
ということで、これは別に、各話の出来不出来に左右されず、やりかけたことを続けているだけなので、当然予想される事態が続いたからと言って、つまり「評価が覆らないから(=作品に良い評価が与えられないから、見るのを)やめる」ということにはならないし、そもそも「やめる」と言う選択肢は、自分の中には全くない。
というより、それぐらいでやめるんなら、始めから取り組んでない。
次に、「なぜ酷評する作品のアフィリを貼るか」だが、
この説明には、かなり寄り道する必要がある。
「あくまでも個人の感想」と断っているように、
自分の評価や位置づけは、一般的な意見とは異なって当然と考えている。
最近では、「映画 ひみつのアッコちゃん」について、世評と大きくズレた。
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評価が異なるのは、私がお客さん目線を卒業し、
作り手の目線で評しているからである。
つまり気分とか好き嫌いで作品を評するような感情論はとっくに卒業したわけで、高く評価するにせよ、低く評価するにせよ、そこには明確な理屈が横たわっていて、きちんと理詰めで説明している。
だけど、私の評価に同意できない人だってたくさんいるだろうし、
それは理屈ではなく、多分に気分的なものなんだから、
それをどうこうしようなんて思わない。
子供時代は、作品を全肯定するしかない。
ただひたすら、圧倒され、心酔し、夢中になるものである。
だからといって、作り手が、そういう圧倒的な肯定だけをあてにしたり、
作り手自身も「子供の視聴者目線のまま」だったりしたら、大問題だ。
さすがにそんな作り手はいないと信じている。
教員時代に、保母さんになりたいという生徒がいて、志望動機を書かせたら、
「子供が大好きで、今でも小さな子供とよく遊ぶから」
とあったので、
「それじゃあ身体だけ大きくなって、保育園に後戻りするだけじゃん。保母さんなりの視点がなけりゃ、仕事とはいえないよ」
と指導した。
「2199」への総監督の抜擢の理由の一つは、
〈オリジナルシリーズの大ファンで、「ヤマト3」から制作に関わった実績があり、業界で最もヤマトを知り尽くしているから〉
だろうが、これまでの氏の本職はキャラクターデザイナーがメインで、演出経験は少なく、またその数えるほどの演出作品が、とりたてて傑出していたわけではない。
つまり、まだ演出家としての視点が、育ちきっていない。
氏がデザインを担当した「仮面ライダーTHE FIRST」のデザインにはなんの文句もないが、だからって、氏がまったく参加していない演出までスンバラシカッタかといえば、作品自体はどうにも褒められない出来だったし、もちろんそれはデザイナーの責任ではない。
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で、氏は「2199」に、演出、つまり総監督として参加しているはずなのに、できあがった1~3話は、あくまでも「長年、自分が見たいと思い描いていたヤマト」になってしまい、その視点は、骨の髄までヤマトファン、ヤマトマニアのものであって、決して演出家としての視点ではない。
なので演出家の視点なら、当然「ヤマトのリメイクだったら、絶対はずせないよな」と考えるであろうところがポカスカ抜ける一方で、個人の趣味とかの余計な夾雑物がドップリ注入されてしまい、もはやオリジナルの作劇の原形をとどめていないことにガクゼンとした。
一番まずいのは、氏が知識の豊富な、海上自衛隊のあれこれを、無思慮に放り込んだことである。
階級や用語を持ってくるのは、見映えに影響しないからどうでもいいけど、
日進月歩のテクノロジー、つまり22世紀末の舞台に、21世紀初頭の現行品、ヘッドフォンとかキーボードとか厚みのあるディスプレイ等の装置や装備まで、どうしてほぼそのままを無造作に並べてしまうのか、その神経を疑う。
自衛隊とヤマト隊?は、軍組織、武装集団としては通じるところがあるにせよ、装備までそろえるなんて愚の骨頂。
そもそもヤマトのキャラの名前と制服には、新撰組が参考になってるが、だからといって、ヤマト隊員のスタイルを、ちょんまげに帯刀なんかにしないでしょ?
そういう愚の骨頂の更なる一例として、古代の双眼鏡を挙げたら、
私が「2199」を“けなした”(つもりはさらさらないが、どうやらそう受け取ったらしく)のが、よほど気に入らなかったと見えて、この双眼鏡の指摘に、いいがかりをつけてきた人がいる。
いわく、
「今のテクノロジーじゃない、22世紀末の高性能双眼鏡なのに、現行品の基準で判断するのは、想像力が乏しい証拠」
らしい。
この双眼鏡は2話にも出て来た、古代の個人的な所有物だが、3話の木星の浮遊大陸の観察などにも用いられた。
古代は第一艦橋の分厚いガラス越しに、この双眼鏡で艦外の状況を確かめる描写を散見する。
艦外の状況を確認するとき、その手段を艦自体が持ち合わせず、隊員個人の所有物に頼るとしたら、宇宙戦艦として根本的に設計ミスじゃないか?
もしも古代が双眼鏡を持ってなかったら、どうするつもりだったのか?
「想像力が欠如している」のは、
現在の自衛隊の艦船では、艦橋の内側から外を双眼鏡で眺めている現状を知っているからと、
元画像はこちらより。
そのまま未来の宇宙船にコピペする方じゃないのか?
みんなが「2199」に注目して期待するのは、「宇宙戦艦ヤマト」という安心と信頼のブランドなればこそであって、「総監督がこの人だから見る」という人はほとんどいないはずで、その意味では総監督は、ビッグタイトルに大きく依存している。
「そんなことはない、総監督にこそ期待して見てるんだ」って人もいるかもだけど、
だったら、別の総監督で「2199」が放送されたら見る、見ないの人数の変化と、
氏が総監督だが、「ヤマト」とはまるで無関係の新作アニメが放送されて、見る、見ないの人数を想定すれば、私の言わんとしていることは分かると思う。
なのに、そのより頼むべきタイトルに、どうして総監督は、平気で背くようなことをしてしまうのか?
1作目の「宇宙戦艦ヤマト」に、当時の中高生から上の世代は、なぜ熱狂したか?
一つ目は、
未来のロマンを感じさせるビジュアルにしびれた
からで、
未来を感じさせるのは、現代では見たこともない形や機能のガジェットにあふれていたからだった。
なのにどうして、現代でもすでに時代遅れな、よく見かけるありふれたデザインを平気でちりばめて、未来予測を軽々と放棄してしまうのか?
私の小説「ルインズウォー」は、2127年12月から始まる物語だが、出てくるものはことごとく、現代に見慣れたものとは見映えや機能を変えてあるし、あえて見慣れたものが出てくる場合は、それなりの理由付けをしていて、そこが苦労のしどころでもあり、また創作の醍醐味でもあると思うんだが。
ルインズウォー(遺跡戦争)
ヤマト熱狂の理由の二つ目は、
視聴者を子供扱いしていなかったから
で、
「テレビまんがなんか、いいかげん卒業しなさい」という、それまでのあたりまえの世論を覆し、堂々と見続けるに足る、大人のドラマと世界観が展開したから
だった。
つまり作り手が、受け手との関係を対等に考えていて、子供だましな部分のない、画期的なアニメだった。
だけどさあ、1~3話までの「2199」には、胸を張れないよ。
「ねえ、なんで船の外の様子を見るのに、艦内から双眼鏡を使ったりするわけ? おかしくね?」
って訊かれたら、反論できず、
「だよな、やっぱそう思うよな?」
って同意しちゃうもん。
↑こんな図、ヘンでしょ?
まあ、こっちもジジイになっちゃったから仕方ないけど、どうにも対等な目線には思えない。
でもってですね、
「そもそもこういう不手際は、指摘した私の責任なんでしょうか?」
とも言いたいよ。
なんだか、指摘した(暴き立てた)こっちがワルモノで、
ヤマトという看板をしょって作り手がやることは全て正解、批判などもってのほか、
って風潮には、
「おいいおい、誰がホントの、ヤマトの敵(=本来あるべき姿に背く存在)なんだよ!」
って言いたくなる。
ああ、そうそう、アフィリの話ね。
さんざんけなした作品なんか見る気が失せるだろうに、なんで無駄にサムネを貼る?
ってお思いでしょうが、
反対に、私が指摘したことが本当かの検証に、作品を見たいって人だっているかもしれない。
また、
「こういつはそう思っても、オレがそう思うかは、実際に見てみなければわからない」
って考える人もいるかも知れない。
テレビ放送を見逃したら、レンタルするか、ソフトを買うしかない。
ということは、ソフトが売れて、売り上げに貢献する可能性がある。
だったらせめて、アフィリエイトで便乗させてもらいますよ、ってことですよ。
ここまで言ってもまだ、
「外野でエラソーに言ってるお前なんかより、実際に作り上げたスタッフの方が、数億倍立派だよ」
とか、
「あのさもう見るのやめたら?
煽りでもなんでもなくマジで。
ケチつけといて、アフィべたべた貼り付けて
おまえこそやってることがでたらめだよ」
と思われるのならば、それはそれでかまいませんがね。
4話の感想は、5話の放送までには終えますが、けっこう気に入りましたよ。
文句はほとんどありませんでした。
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