白抜きウルトラ備忘館2018-11-1
先月のこれ(ウルトラ備忘館2018-10)に続くが、
作業内容は、ここ(ウルトラマンリスト覚え書き/変更指示書)に記されたとおり。
白抜き画像ではなく、
背景画像の配置だけなら、
すぐに終わるんですが、
AとBは同じ粘土原型からの成形で、
といいつつも、耳の角度が異なるので、
ホントかよ、と思っていたが、
Cタイプだけはマスク造形が明らかに異質で、
口幅が広い、別物に変わった。
Cタイプマスクは、
以後のゾフィー、
↓模様こそ初代(宇宙警備隊員ゾフィ)に忠実なれど、
↑眼光がイエローな「タロウ」後期以降の客演ゾフィー。
新マン/2世/ジャック、
等に、目の取り付け位置と角度を変えて受けつがれたが、
「同じ顔」のCタイプウルトラマン3人は、
なぜ頭部造形をA/B共通原形からやり直したのか。
別の言い方をすれば、
Bタイプこそ、演者の古谷敏を模した完成形マスクだったのに、
なぜ造形を変更する必要があったのか。
平面デザイン担当の成田亨氏は、
初代マンの顔面3タイプを製作当時に気づかず、
80年代のオタク商品で初めて認識。
となると、立体造形を手がけた佐々木明氏が変更したわけだが、
その経緯の証言はない。
すると最近、
特殊美術工房BD7 SAITOU氏が、
フェイスブックなのでご本名で、
仲間うちにだけ、その経緯を紐解いていた。
許可なく掲載はできないため、
私なりに噛み砕いて説明しよう。
まず、AタイプとBタイプが同じ原形と言いながら、
形状が異なる理由は、
原形が硬質素材ではなく軟質素材で、形状維持が困難だったため。
彫刻、彫塑(ちょうそ)の芸術分野では、
造形粘土は水粘土。
完成形は石膏で型取り複製するまで、
乾燥、ひび割れ、破損を防ぐよう、
ぬれタオルで包み、霧吹きで定期的に水をかける。
ウルトラセブンまではマスク原形は水粘土製で、
タイプの違いは単に型取り複製の違いだと、
初代マンAタイプは口を動かすため、
表面はラテックス製、
Bタイプは可動をあきらめ、固定表情のFRP製で、
この型取り複製の際に、
水粘土原型を若干手直しした。
この水粘土マスク原型は、
Cタイプの前に、にせウルトラマンの造形に再利用された。
この時点で、口幅が広がっている。
Cタイプ(とゾフィ)は、
にせウルトラマンの水粘土原型からの修正造形なため、
口幅が広がった。
ゆえに初代マンのマスク造形の変遷は、
A→B→にせ→Cが正しい。
ところで、初代マンのマスク変遷についてまったく知らず、
ずっと気づかなかった成田亨氏だが、
実はCタイプの口が幅広になったのは、
佐々木明氏が勝手にやったわけではなく、
成田亨氏の意図に従っている。
というのも、
成田氏が「ウルトラマン」製作当時に描いた、
にせウルトラマンのデザイン画で、しっかり幅広口に描かれているではないか!
青森県立美術館の収蔵リストによれば、にせウルトラマンのデザイン画は1966年、ゾフィーは1967年に描かれたもの。
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