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7〜9話鑑賞記/ルパン三世PART5〈その5〉

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「ルパン三世 PART5」の
〈その5〉です。
 
その1
その2
その3
その4
 
本題の前に、
作風が劇変して世間をにぎわせた、
第6話「ルパン VS 天才金庫」の冒頭カットは、
すべて『ルパン三世(TV第2シリーズ)』オープニングタイトルからのもじりだった。

冒頭で第2シリーズのオープニング4種類中のそれぞれ1シーン(静止画)が、

ほぼ同じ構図で新規作画で描かれた。

ただし描かれた4つのシーンは第2シリーズであるため、
本来赤ジャケットだがうち3つは
グリーン、

ブルー、

ピンクのジャケットに

それぞれ変更されている。

 

またルパン、次元、五ェ門、銭形もそれぞれPARTIIIの衣装で登場している。

 

あまりにもPART5前話までとのトーンが異なって心配したが、

7話以降は従来のペースに戻ってまずは安心。

 

第7話 その名はアルベール 2018/5/16

 

第8話 黒い手帳は誰の手に 2018/5/23

 

アルベール・ダンドレジー(Albelt d'Andrésy:推測)という敵の名前で、

これはルパンの鏡像だなと気がついた人は、

相当なルパン通。

 

ルパン通と言っても、

ルパン三世ではなく、

アルセーヌ・ルパン(Arsène Lupin)、

つまり本家モーリス・ルブラン版の元祖怪盗ルパンのこと。

 

TV 1st 第21話「ジャジャ馬娘を助け出せ!」より。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-にせい

 

アルセーヌの父は体育教師テオフラスト・ルパン(Théophraste Lupin)

母親はアンリエット・ダンドレジー(Henriette d'Andrésy)。

 

つまりアルベール・ダンドレジーの

「アルベール」は「アルセーヌ」のもじりで、

「ダンドレジー」は元祖ルパンの母方の姓である。

 

それもあって、アルベールはルパン三世の強力なライバル。

 

フランス司法警察中央局局長。階級は警視。性格は冷静沈着、冷酷無比で声帯模写を得意とする。

また「同姓」に嗜好を寄せている。

ルパンとは旧知かつ因縁の関係にあり、ルパンの行状や素行などをよく熟知している。

キービジュアル第1弾でもルパンと並び立つなど、本シリーズにおける重要なキーパーソンの一人。

 

各話はその図式に則(のっと)って、

淡々と進むため、その分析はあえてせず、

ふだんめったに触れない、

背景美術について。

  • 美術監督 - 清水啓一朗
  • 美術デザイン - 山子泰弘、金森たみ子

これなんだが背景美術って、

ちゃんとしていてあたりまえで、なかなか評価されないし、

人の目にもとまらない。

 

よほどハイレベルでなければ見過ごすが、

7話はお世辞抜きに良く描けていた。

 

公式ツイッターによれば、

EP2ではお話の雰囲気に合わせ、背景のタッチや色調を変えています。

美術スタッフに素材を複数パターン作ってもらいテストを重ねて出来上がった画面が、今夜放送されたものです。

——とのこと。

 

これほど印象に残る背景美術は、

おおかみこどもの雨と雪』(2012)以来。

ふうけい
とり

ぼうとう

コンビニやクリーニング店、大学などの建築物の背景画には、

写真を下敷きに描かれたようだが、

とにかくアニメ界では出色の、強く記憶に残る背景画だった。

 

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君の名は。』だって、
114

もちろん、背景美術はよくできてはいたが、

65456

『おおかみこども』の背景画を越えたとは思えない。

 

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それよりも、

『ルパンPART5』の7話は印象に残り、

それは8話でも変わらなかった。

背景画は全て7話より。

 

ドラマ面では、

8話の最後は圧巻で、

ルパンがアルベールにしかけた工作はことごとく見破られ、

彼は撃たれて手も足も出ない。

 

 

そして

第9話 “ルパン”を棄てた男 2018/5/30

 

PART5で一番面白かった!

 

なにせ、放送は深夜25:34(午前1時34分)からなんで、

毎回眠いんだけど、この回だけは目が覚めたよ。

 

まず、よくあるパターンで、

ルパンは撃たれたようで、

ホントは無事だったというのがあたりまえだが、

8話の最後は本当に撃たれていた。

 

さらにアルベールとルパンが若い頃に組んでいたのが示され、

タイトルからも、

アルセーヌルパンの正当な孫(後継者)は、

ルパン三世ではなく、

本来はアルベール・ダンドレジーだったことが示された。

 

これにより、

PART5第1話で、

ルパン三世を

「アルセーヌ・ルパンの孫とされるが、真偽は定かではない」

云々のナレーションが生きてくる。

 

さらにこの回は、アクションが秀逸!

『ボーン』シリーズ(『スプレマシー』?)を想起させる、

斬新な構図と、

軽快な動きが鮮烈。

担当は元テレコムの増田敏彦氏だとか。

予告でも流れたので、

8話ラストのルパンのふがいなさとの対比から、

撃たれてないんではと疑ったほど。

 

エピソード2には、銭形が未登場なのもいい!

 

とにかく無理やり全員(ルパン、次元、五エ門、不二子、銭形)出すことで、

話がどれだけ不自然に水増しされるか、

さんざん味わってきただけに。

 

そんなこんなで、エピソード2のしめくくりが楽しみと共に、

また合間に6話みたいな怪作がさしはさまれるのがコワイ。

 


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