相棒 -劇場版IV-
首都クライシス 人質は50万人!
特命係 最後の決断
2/23 イオンシネマ越谷レイクタウン
スクリーン3
『相棒』も、ついに映画4作目にして、
観る価値のない駄作になり果ててしまった。
以下に観点を変えて、
駄作になってしまった原因を探る。
1,脚本
観客は上映中ずっと、
イヤな違和感を抱きながら映画を見続ける。
それって違うんじゃないの?
その違和感の正体は、
最後に解き明かされはするが、
もっぱら真犯人に関する、二段構えの構造についてだけであり、
そっちだって奇異な部分が残るだけになおさら、
冒頭から登場する、もう一人の重要な登場人物に関するあれこれは、
ひたすら矛盾とご都合主義の連続で、
まともに取り合えない類の、
とんだできそこない=イディオットプロットである。
脚本の太田愛には、
劇場作品は荷が重すぎたようだ。
2.製作体制
「相棒」が長年積み重ねて来た蓄積が、
最近はズタボロに分断され、
空中分解を始めている。
それは役者の交代に起因するが、
作劇上の必然で顔ぶれが入れ替わっているわけではなく、
もっぱら主演の水谷豊の気分によるところが大きいと伝え聞く。
作品タイトルはあくまでも「相棒」であって、
「特命係 杉下右京」
でない限り、
相棒が交代する場合は、
杉下の方が降板の可能性だってある。
最初に寺脇康文を追いだした時、
水谷はこれに気づき、
自分の代表作かつ最成功作から身を退く気などさらさらないので、
どんどん発言権を増していき、
自分が意志決定の最終権限を握るようになった。
かくして
↓及川光博は長続きせず、
三代目の成宮寛貴の降板はあまりに唐突で、
ドラマはそれまでの流れと全く接点のない、唐突なものだった。
小料理屋「花の里」の初代女将で、右京の元妻。宮部たまき役の高樹沙耶は、
撮影休止期は島に暮らし、
日焼けを戻すのに難儀するので、
自分から降板を申し出たとか。
三代目相棒、
甲斐享(かい とおる)役の成宮寛貴は、
元々は2年の約束だったものを、
水谷や制作陣の申し出により1年延長してもらった
——となっているが、
当初はseason12の最終話の被弾シーンで殉職するという設定で描く予定だったなら、
なんであんな不名誉な去り方(特命係に在籍中、親友の妹が殺された事件に端を発した暴力事件の犯人として逮捕、特命係を去ると同時に、懲戒免職となる)にしたのか。
本人の証言だって、
真実を語っていないことは、
古舘伊知郎や、
有吉弘行の例からも、
テレビ界ではよくあること。
一時期、銀座の東映で試写を鑑賞後、
階段で下りると、
その壁中に「相棒」のポスターがびっしりと貼り尽くされ、
最新視聴率が誇らしげに上から貼り足されて、まさに相棒一色だった。
当時の東映社長は、
テレ朝は「相棒」の再放送だけ流しときゃいいんだ
と言い放ったと言うが、
高樹沙耶と、
成宮寛貴の両名がアレしてしまった現在、
二人のどちらかが出演しているエピソードは放送できなくなった。
それでも、
本放送時にトラブらなかっただけ、
まだ「相棒」は強運だったのかも。
これもあって、今では
米倉涼子の「ドクターX」が、
テレ朝ドラマの一番人気に交代している。
とにかく、水谷の気分次第で、
いつどのキャラが姿を消すかわからない状況では、
真剣に流れを重視したドラマ作りなんて不可能になる。
コツコツと積み上げた積み木を、
わがままで気まぐれな水谷が、いつカンシャクを起こして、
ガラガラと崩しやしないかとい、気が気ではないからだ。
今の「相棒」は、
とりあえず相棒っぽい外観を保ちながら、
惰性で続けているだけだから、
視聴者や観客もドラマに没入できず、
興味関心も薄れる一方。
水谷豊は、自分で自分の首を絞めている。
3.社会情勢
「相棒」には隠し味に、必ず社会問題の告発がある。
ところが、
前作『相棒-劇場版Ⅲ-巨大密室!特命係 絶海の孤島へ』(2014)
の頃から今日まで、
現実の方がドラマより深刻な事態になってしまい、
フィクションとは言え、その問題をスルーして、
架空の社会問題をテーマにドラマを展開しても、
説得力のない事、このうえなし。
「そんなドラマを紡ぐ前に、他に優先させることがあるだろ!」
と、シラけてしまう。
人間、引き際が肝心だ。
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「相棒 -劇場版IV- 」(2017)
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