ついに、この時が来てしまいました。
この記事より。
喪黒福造・ハクション大魔王…大平透さん死去
虫の知らせとでもいおうか、
ついこの前、
「スペクトルマン」(1971)のいわゆる「ヤバイ回」、
今なら放送できない、犬系と、「アルジャーノンに」系を、
動画投稿サイトで見てて、
公害Gメンもしくは怪獣Gメンのチーフ役で大平氏を見かけて、
「そういや…」
と、かすかに予感していたような。
大平透氏は、フジの番組が多かった。
「マグマ大使」(1966)のゴアは、自身でスーツに入り、
これがピープロ作品との縁になり、
先述の「スペクトルマン」(宇宙猿人ゴリ)につながった。
「おらぁグズラだど」(1967)
「ハクション大魔王」(1969)
等でタツノコ路線を確立、
「科学忍者隊ガッチャマン」(1972)の南部博士に続いた。
大平透といえばTBSの「スーパーマン」と言われるが、
映画(1978)公開にあわせた、
1979年のTBSで早朝に再放送されたカラー版は、
クラーク・ケント/スーパーマンは、
すでに大平氏ではなく、小林清志に交代していた。
となると次の海外ドラマの代表作は、
またしてもフジの「スパイ大作戦」
ただし指令の声なので、顔だしキャストとは無関係だった。
そういや、
「このテープは自動的に消滅する」っていうのは、
かくし芸大会のパロディ劇でも、大平氏がやってたっけ。
洋画の吹き替えでは、
テレビ朝日の『スーパーマン』で、
スーパーマンの父、ジョー・エル(マーロン・ブランド)を、
そして『スター・ウォーズ』
『帝国の逆襲』
『ジェダイの復讐』
——のビデオ版(1989)で、
またしても主人公の父、ダース・ベイダー役をつとめ、
これが定着して、
『シスの復讐』(2005)でも吹き替えた。
そういや、この前、『反乱者たち』にベイダーが出て来たが、
声が別人(楠大典)だったのは、すでに大平氏が入院していて、代役を立てたためらしい。
とにかく、今ではダース・ベイダーといえば大平透になってるが、
1989年までは、
辻村真人(ストーリーレコード)とか、
鈴木瑞穂(日テレ放映版)とか、
南原宏治(劇場用吹き替え)とか、
坂口芳貞(日テレ後続)とか、
「なんで大平氏をはずして、そんなとこ?」時代が長く続いた。
実は私は、
大平透氏と一度だけ対面したことがある。
1996年に、ハズブロー/ケナーから、
VHSビデオを再生しながら遊ぶボードゲーム、
「インタラクティブ・ビデオ=ボードゲーム」が発売され、
※映像のみで、音声はカットされています。
新録部分は、大半の映像・音声を流用する89年版と同じ配役なので、
新録部分の翻訳を手伝った縁で、
スタジオの大平氏の収録に立ち会えた。
ものすごく背の高い人(180センチ)で、
高音域しか拾わないテレビ音声では、
待望のベイダー役でも軽すぎて、
「あれ?」とがっかりしてしまったのに対し、
大平氏本人がじかに放つふだんの話し声は、
重低音が腹に響くバリトンの地声が、とにかくド迫力。
収録の合間にケータイに応え、
廊下で話している声でも筒抜けで、
まさに音声兵器と形容するのが、ふさわしかった。
納谷悟朗氏などが、90年代にはとっくに声がヘロヘロになる中、
テレビCM
健康保険組合連合会『あしたの健保プロジェクト』(2014)
での喪黒福造でもまったく声が衰えず、
「もしかして大平氏だけは、声が衰えることなく、永遠に生き続けるのでは?」
と思わされた。
キリストが十字架で絶命した後、
落雷や地鳴り等の天変地異が発生したというが、
大平氏の亡くなった2日後の夜に、
熊本で大地震が起きたのは、なんだか象徴的な気がする。
追伸:ベイダーの後継者は、中尾彬ではないかと、
それこそ2002年頃から思っているが。
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訃報・大平透
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