映画『ゼロ・グラビティ』については、今回の〈その3〉で終了です。
※基本的にネタバレですので、ご注意下さい。
鑑賞前に読むのは、オススメできません。
本作はドラマの大半が宇宙空間で展開するため、
30~40年前にたくさん作られた、
宇宙SF映画のもじりや引用が多数盛り込まれているので、
列挙していこう。
『SW三部作』(1977/80/83)
マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)が、
劇中で「イヤな予感がする」と言うのは、
一度ではなく、おそらく三度。
これはもちろん、「宇宙SF映画と言えば」の代表作
『スターウォーズ三部作』へのオマージュ。
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現状で六部作で、その全てにこのセリフ
(※完全に同一ではなく、微妙に言い回しが異なる)
があるのに、3回しかくり返さないのは、
6回もやるのは、さすがにしつこいってこともあろうが、
「新三部作(エピソード1・2・3)なんて、オレは認めない」
って言うのも、あると思うよ。
『エイリアン』(1979)
ミッションスペシャリストの
ライアン・ストーン(サンドラ・ブロック)は、
国際宇宙ステーションの内部に落ち着いた時点で、
「スペースシャトル(エクスプローラー)の唯一の生存者」と独白する。
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これは『エイリアン』の、
最後のリプリー(シガニー・ウィーバー)のセリフで、
実質上の前日談、『プロメテウス』でもなぞられた、
「こちらリプリー、ノストロモ号、唯一の生存者」
から。
↑※40秒以後は勝手な後付け改変ですので、見る必要はありません。
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『エイリアン』では、ドラマの結びになったセリフを、
『ゼロ・グラビティ』では全体の1/3程度に持ってきて、
「リプリーの命からがらの冒険も、これと比べたら、まだまだ序の口」
ということを示してもいる。
↓『エイリアン』の最後の方のリプリーの下着姿は、
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↑『ゼロ・グラビティ』劇中にも受け継がれている。
『ライトスタッフ』(1983)
『ゼロ・グラビティ』に顔だし出演するのは、
サンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーの2人だけ。
交信する地球側の、ヒューストンの管制官の「第三の声」は、
『ライトスタッフ』で実在のマーキュリー計画の宇宙飛行士、
ジョン・グレンを演じたエド・ハリス。
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『アルマゲドン』(1998)
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これは、アルフォンソ・キュアロン監督が
明確に意図したかどうかはわからず、
あくまでも私見だが。
『アルマゲドン』を観た時、
主演の雇われ技師達の行動が、
迂闊で軽率なのは理解できるとして、
サスペンスをたたみかけるためだけに、
ロシア人の宇宙飛行士/技師が、
思慮のかけらもないマヌケな人物に描かれていることに、
猛烈に腹が立った。
『ゼロ・グラビティ』では、
アメリカ、ロシア、中国と、国や言語が異なっても、
宇宙施設の操作体系は基本的に共通で、
国を問わずにシステムは堅牢なことをきちんと示して、
ドラマに説得力を与えている。
『ミッション・トゥ・マーズ』(2000)
飛行士の一人が自らを犠牲にすることで、
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仲間の命を救うくだりが、両作で共通している。
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『アライブ 生還者』(2007)
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これまた、キュアロン監督が意図したかどうかは別にして。
『アンデスの聖餐』(1973)『生きてこそ』(1993)で知られる、
ウルグアイ空軍機571便遭難事故を、
生存者全員とその家族、救助に関わった人たちに、
事故から35年を経て取材したドキュメンタリー、
『アライブ 生還者』の中の証言で、
「墜落事故だけがタイヘンだったのではなく、
その後も危機はいくたびも訪れ、
もうダメだと思わされる瞬間は幾度もあったが、
肝が据わってきてジタバタしなくなり、
それこそが次の行動の動機になった」
旨の発言があった。
『ゼロ・グラビティ』で、大事故の後に続く様々なアクシデントは、
クリフハンガーの常套手段にしか過ぎず、
現実的ではない、と感じるむきも多かろうが、
主人公はこれによって、前へ進まざるを得なくなるので、
私としては、かえってリアルに感じた。
自らを顧みたって、
依然として危機的状況に身を置いているくせに、
いつまでもこうして、
ブログばっかり充実させてちゃダメだよ!
『猿の惑星』(1968)
中国の宇宙船(天宮号)で地球に帰還した主人公は、
海ではなく、湖か沼らしい場所に着水する。
ロケ地はアリゾナ州のパウエル湖で、
『猿の惑星』(1968)で、
テイラー船長の宇宙船(俗称イカルス/正式名リバティ1)
が不時着した場所と同じ。
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なんで?
これはこの映画の精神にもとづくもの。
宇宙では寒さや真空という死の環境を、
宇宙船や宇宙服に守られないと生存できない、
人間という生き物。
これが地球に帰還たちまち、
状況が逆転。
宇宙船には大量の水がなだれこんで、
そこにとどまれば棺桶代わりになってしまい、
身にまとっていた宇宙服も、
さっさと脱ぎ捨てなければ、たちまち死装束と化す。
この二つから脱した後で、
絶対の安全を保証してくれる陸にたどりつき、
まるで巨人のように頼もしく、たくましい存在に転じた生還者は、
感謝の言葉と共に、大地を力強く踏みしめる。
もしも海に着水したら、
そこから泳いで陸地にたどりつく過程を描かねばならず、
映画は冗漫になるし、
「地球にいさえすれば、人間は安全」
ということも、波打つ海面では示しづらい。
だからこそ、水面がおだやかな湖が選ばれ、
どうせロケするんなら(このシーンだけ、65ミリのフィルム撮影)、
やっぱ、あそこでしょ!
ということになったわけ。
宇宙では自分を守ってくれた盤石な存在が、
地球では凶器と化したり、もろくも崩壊していくが、
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人間は包み込むように守られ、生かされていて、
不安も恐怖も感じずに安心して暮らせる
----ということを示す映画なんだから、
(そして最後にようやく示される、原題のGRAVITY=重力という言葉が、
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「我らの頼もしき守護者」として、テキメンに効いてくる)
戻って来たら、地球は猿の惑星になっていた、
とかは、違うと思うね。
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心で映画を観なけりゃ、たとえ長年に渡って何百本観続けたって、作り手の真意を見誤る。
とにかく、つくづく、スゴイ映画でしたよ。
あのウソ泣きウーマン村本さえ、感動したみたいです(どうだか…)
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