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『ゼロ・グラビティ IMAX 3D』〈その2〉(2013)

今日はイヴなので、
日頃の本ブログご愛読に感謝して、
クリスマスプレゼント代わりの記事です。

ただし、映画『ゼロ・グラビティ』についてのネタバレ感想・まとめ記事ですので、
必ず、本編をご覧になってからお読み下さい。

ストーリーの結末を知って、鑑賞の醍醐味が半減しても、当方では責任を負いかねます。

アルフォンソ・キュアロン監督に注目したのは、
『トゥモロー・ワールド』(2006)だった。



冒頭の、主演のクライヴ・オーウェンが出て来た店が爆発するワンカット撮影は、スゴサが伝わりにくいが、
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さんせい

それに続く前半の、車中のワンカット映像に、この映画の型破りさに刮目、

そして終盤の、
戦場の長回し一人称視点
(カメラの視点が観客のそれと重なる)
↓映像の長さに、ビックリ。
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バー

↑2年後の『クローバーフィールド』(2008・マット・リーヴス監督 /J・J・エイブラムス製作)でも同じ手法は多用されたが、後出しジャンケン(二番煎じ)の感は否めず。

なのでとにかく、『トゥモロー・ワールド』はすっかり気に入って、日本ではさほどヒットせず、上映期間も短かったところ、2回か3回は、くり返し観た。

「こんなスゴイ映画なのに、なんで世間はスルーなの?」
と、信じられない気持ちだったが、
どうも日本人の映画観客が映画と認識しているものとは、
大きなズレがあるようでして。

『トゥモロー・ワールド』でのワンカットの最長持続時間は、378秒(6分18秒)。

当然、キュアロン監督の次作となる『ゼロ・グラビティ』には、
それ以上を期待したが…
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さざん


冒頭からずっと、映像が途切れない!
もしかして全篇を、ワンカットで押し通すつもりなのか?


結局17分(※当初の予定 13分説もあり)だったが、
とにかくこれで、観客はすっかり映画の中に入り込み、
サンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーに次ぐ、
第三の人物として、その場に居合わせることになる。

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いったん


そう、映画を観ているという、客観的な立場なんかすっかり忘れて、
画面の中にどっぷりと入り込み、主人公と運命を共にすることになる。

2Dより3Dなら尚更、
IMAXなら決定的に!

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houkai


いったんそうなってしまえば、後はもう、ひたすら身を任せるまま。

カットが変わろうが、少しずつ音楽が入る度合いが増えようが、
観客は作品の中に、取り込まれっぱなしになり続ける。

そうは言っても、こちとら少々、映画は見慣れた身。
3Dグラスで光量が絞られて画面が凝縮するので、
成田のIMAXでも、それほどデカく感じず、
「そんなにいうほど、良いか?」
と冷めた部分があった。

だがそれも、開始1/3あたりまで。

予想だにしなかったことが次々に起こり、
ひたすら翻弄されて、思わず画面をよけまくりつつ、
「ええっ?」
「えええっ!!」
と声を上げる。
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よけ


主人公は、条件にも時間にもせきたてられ、一難去ってまた一難。
息つく暇なく、地球に帰還するための苦闘を続ける。

ここからホントにネタバレ注意!(赤字部分)

「実際にこんな事が起きたら、絶対に助からない。
だからこれは、しょせんはドラマのご都合主義」
と言う声もあるが、そうだろうか。

このドラマは、主人公が無事に生還してこそ意義があり、
だからこそあえて、それが到底ムリそうな展開になっている。

とはいえ、理屈に合わないことは起きていない。
生還のシナリオは、予期せぬ別れの前に、
あらかじめクルーニーからサンドラに伝えられていて、
それでもいよいよ切り抜けられなくなると、
死んだはずのクルーニーが、解決策を伝えに来る。

死者が生者に託すものと、かわりに生者が死者に託すこと。


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ぺぐ


先週の「ブランチ」の宿題(コメンテーターと局アナの、見終わった感想が同じだった、その内容を打ち明ける)は果たされなかったが、
本作鑑賞後の観客の感想は、ほぼ同じ。

「しっかり生きねば」
「くじけてられない」
「この作品から、生きる力をもらった」

かくしてキュアロン監督は、見世物としての映画の質と量を格段に高めただけではなく、
脚本を息子との共作で、見る者の心を揺さぶることにも、見事に成功した。

映画の可能性と枠組を飛躍的に広げた、
アルフォンソ・キュアロン監督に、
心より敬意と感謝を申し上げます。


前回を「前編」から〈その1〉に変更し、次回は視点を変えての、『ゼロ・グラビティ』〈その3〉です。


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