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誰も知らないスター・ウォーズ⑯

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誰も知らないスター・ウォーズ⑯
 
本題に入る前に、この記事(誰も知らないスター・ウォーズ⑮【補完記事】)を受けて、
この記事(誰も知らないスター・ウォーズ⑭)の訂正を。
 

マーシャとの離婚とピクサー売却

(前略)

マーシャは編集の名手で、第1作では監督の夫ジョージを差し置いてアカデミー賞を受賞し、作品にも貴重な鋭い意見を与えてくれる良き協力者だった。しかしSWが成功し、シリーズが続くにつれてマーシャの影は薄くなっていき、編集者としての実力を発揮できぬまま、偉大なる夫ジョージの存在にかすむ家庭の主婦に甘んじていた。

やがてマーシャは才能をほめそやされてよろめいたのか、自宅の模様替えに訪れたインテリアデザイナーと浮気をして、これを知ったルーカスの逆鱗に触れ、家庭からだけでなく、映画業界からも追放されてしまった。

浮気相手はインテリアデザイナーではなく、
ステンドグラスアーティストのトム・ロドリゲス氏で、
同氏は1980年から83年まで、
スカイウォーカー・ランチのプロダクションマネージャーで、
設計に関するアイディアをマーシャに拝むと、
素人とは思えない案を次々に提案するため、
ロドリゲス氏がこれを称賛。
 
2人はやがて不倫関係に陥り、
正直なマーシャは自ら夫ルーカスに、1982年の中頃に離婚を申し出た。
しかし夫ジョージは世間の評判悪化を怖れ、
返事を『ジェダイ』公開の1983年まで保留した。
 
マーシャはルーカスとの離婚成立後に、
ロドリゲス氏と再婚。
1985年にはエイミー・ロドリゲスという娘が誕生。
しかし夫妻は1993年に離婚している。

——と修正しておきます。
 
同記事に関して、
質問者のJOEさんから、
 
JOE
 
ありがとうございます。やっとこれで僕のSWに対する積年のモヤモヤも浮かばれます。
これまでは(僕が男ゆえか)マーシャ氏にいい印象を持っておりませんでしたが、マーシャ氏もまた、映画の神様に愛された人だったと知り、嫌悪の情が消えました。

それにしてもここのブログの情報量は素晴らしい。特にSWに関しては他の追従を許さないのでは無いでしょうか。

 

——とのお言葉をいただきましたが、

そもそもJOEさんのご質問がなければ再調査もしなかったので、

お礼を言うのはこちらの方です。

 

するどいご質問、

いつもありがとうございます!

 

さてようやく、「誰も知らないスターウォーズ」本文転載に戻ります。

daresira

 

第2章 SW映画休止期 (1984~1996)

  • 『イウォーク・アドベンチャー』(1984) 『エンドア/魔空の妖精』(1985)
  • アニメ『スター・ウォーズ ドロイドの大冒険』(1984)
  • アニメ『イウォーク物語』(1984~1985)

 

最後の残り火

 

ルーカスのSW終了宣言は、3年おきにSWが劇場で公開され、全9本や全12本までお楽しみが続くと信じていたファンに冷水を浴びせた。

それでもSWは完全に終わったのではないと示すように、『ジェダイ』翌年の84年には、90分のテレビドラマ「イウォーク・アドベンチャー」(日本では劇場公開)、翌85年には「エンドア/魔空の妖精」(同じく86年3月に劇場公開)がCBSテレビで放映され、両作共にエミー賞のVFX部門で受賞している。また、1985年には2本のアニメシリーズ「ドロイドの大冒険」「イウォーク物語」が放映された。

イウォークものの実写2本とアニメシリーズの設定年代は『ジェダイ』以後だったが、話のスケールも物語もさしたる広がりを見せなかったことから、かねてより決めてあったこととはいえ、ルーカスが『エピソード7・8・9』を完全に破棄する心境に、この時期のスピンオフ(派生)作品群が追い討ちをかけた可能性もある。

 

SW休止期模様

 

『ジェダイ』の残り火のようなアニメシリーズ2本も、イウォークの実写テレビ特番も終了し、商品の主流を占めていたケナー社もSWから撤退したため、SWは完全にその火が絶えたかのように思われた。

この1986年から1995年までの10年間は、SW映画や関連テレビ作品がなかったことから、休止期とか潜伏期として位置づけられるが、逆に言えば、映画がなくてもSW関連事業が継続し、大衆が商品やキャラクターに接する機会が、細々ながらもあり続けたこの10年間のおかげで、SWと聞いても人々が思い浮かべるイメージが、必ずしも映画ばかりとは限らないという環境が形成されていくことになった。

1987年には、SW10周年を祝う公式行事がロスの空港近くのホテルで開催され、ジョージ・ルーカス自らも出席したので、集まったファンは当然のことながら彼にシリーズ再開宣言を期待したが、それはついぞ聞かれずじまいだった。

このSW10周年記念にタイミングを合わせるように、ウエストエンドゲームズ社(以下WEG)というロールプレイングゲームの会社がSWのゲーム化権を取得して、各種ソースブック(ゲームの基本設定となる 作品世界の概説書)を次々に発表し、そこにはこれまでSWに相当詳しいと自認していたマニアでも、初めて目にする新事実や新情報がたくさん盛り込まれていた。

たとえばXウイングの製造会社はインコム社だというのは、第1作公開当時から公表されていたが、Yウイングの製造元がコーンセイヤー社だったり、Aウイングの名前の前に冠する、ドドンナ=ブリセクスというのが、開発者および設計者の名前であって製造業者の名前ではない(旧ソ連、現ロシアのミグ戦闘機が、設計者のミコヤンとグレビッチに基づくのと同じこと)等々は、WEG社のソースブック以前には誰も知らない情報だった。

ソースブックの情報が見慣れぬものだったのも道理で、これらは映画製作時に存在した設定ではなく、大半がゲームのために新たに作り起こされたものだった。基本ソースブックの著者のビル・スラビチェックはかなりのSW事情通で、その博識ぶりを発揮して後年にSW簡易百科事典『ガイド・トゥ・ザ・SWユニバース』第2版を著し、これははなはだ不完全だった、レイモンド・L・ヴェラスコ著の 1984 年発行の同タイ トル第 1 版よりは、相当にまともなものだった。

しかしロールプレイングというゲームの性質上、参加するプレイヤーには、映画で目立った主役以外のキャラも演じてもらう必要があるため、劇中では単なる背景代わりにちらりとしか登場しないキャラクターにまで、主人公ルーク・スカイウォーカーもかくやの波瀾万丈な人生物語が用意されていた。

問題は、これもLFL公認だからと、ゲームブックの記述も映画の公式設定としてうのみにしてしまうフ ァンが多かったことである。

『ジェダイ』以降を引き継ぐ物語

1991年には、小説やコミックスというフィクション(創作)の世界にSWが復活し、『ジェダイ』の後の物 語が語られ始めた。旧三部作から商品化がやり尽くされ、SWのさらなる新しいストーリー発表がどのメデ ィアであろうと望まれていたし、『エピソード6』以降がこうして出版物に解禁されたと言うことは、ジョー ジ・ルーカス自身が、『エピソード7』以降の物語を映画化することを放棄したのだということも暗に示されていた。

ティモシイ・ザーンが書いた三部作『帝国の後継者』『暗黒の艦隊』『最後の指令』(1991・1992・1993)は、 のきなみNYタイムズ紙のベストセラーリストの上位にランクし、世間がいかにSWを渇望していたのかが、はからずも示された。

 

 

 

 

 

 

 

コミックス『ダーク・エンパイア』(1991)は、かつてのマーベルのようにチープな紙質や印刷ではなく、 グラフィック・ノベルとでも呼ぶべき美麗な絵柄とそれに見合うカラフルな印刷で、この作品の成功によって発売元の新興勢力ダークホースコミックス社の株は一気に上がった。

 

 

調子に乗りすぎた『帝国の影』

SWも映画以外のEU(エクスパンド・ユニバース)が充実し始めて、世間の認識も、SWは映画だけではなく、小説やマンガやおもちゃにまで広がっていることを把握しはじめた。そうなるとさすがにLFLも、映画は映画、それ以外のメディアはメディアと境界線をひくわけにもいかず、頃合いを見計らって両者の融合をはかったり、互いの行き来をさせる配慮が欠かせなくなっていった。

もちろん89年からの再出発は、映画の世界を再設定したWEG社のデータを、それ以外のメディアが継承 する構造になっていたわけだが、対外的にはより緊密なメディアの連携を示す必要が生じ、それが1995年の 『帝国の影』という、映画以外のメディアと商品が全て参加する作品だった。 『帝国の影』は、翌年に控える〈特別篇〉、そのまた先に控える『エピソード1』以降の新三部作で、映画と それ以外のタイアップ業態が、いかにスムーズに連携を図るかのシミュレーションや実験でもあり、物語は 『帝国の逆襲』と『ジェダイ』の間のエピソードを小説とコミックスが語り、ストーリーに登場するキャラ クターやメカが玩具や模型に商品化され、このプロットを下敷きにしたビデオゲームになり、なんとサント ラCDまで発売された。世間はこの『影』を『エピソード5.5』として大歓迎したが、LFL社としては 各版権業者への采配を操作しすぎて、何もかもを言いなりにさせたのはさすがにやりすぎだったと、若干の 反省が残ったという。

こうしたライセンスビジネスの上意下達の構造は、新三部作時代にさらに拍車がかかり、『エピソード2』 と『3』の谷間の時期の2003年や2004年のLFLのサイトをのぞくと、ルーカスライセンシングという部門にはハスブロ社のフィギュアが、ルーカスブックスというブランドにはバランタイン社やDK社の関連出 版物がと言った具合に、つまりはルーカス企業体は権利料をせしめる一方で、自社内にはまったく生産機構 を設けずに一切を他社に外注しておきながら、くくりだけはルーカスグループですと堂々と言ってのける、 いびつな依存体質が平気ではびこるようになっていった。

 

 

 

 

 

今回はここまでです。


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