このブログで未レビューで見貯めた映画は増えつつあり、
「いつやるんだ?」ながらほぼ忘却の彼方の
『小説の神様』
2020/3/16 松竹試写にて 東銀座
※同じ橋本環奈出演の東宝映画『今日から俺は』の公開を控え、
松竹としては公開日を決めかねているらしい。
7月24日公開の
『17歳のウィーン』
2020/7/1 キノフィルムズ試写
8/15公開の、
『この世の果て 数多の終焉』
2020/6/18
↓キノフィルムズ試写
と言った試写作品に加え、
一般公開作でも、
『水曜日が消えた』
2020/7/1 TOHOシネマズ六本木 スクリーン4 D列-8番
———が残ってますが、
それらを後回しにしても、
公開初日に勇んでみた、
長澤まさみの
『MOTHER マザー』について。
2020/7/3 T・ジョイ品川PRINCE シアター3 D-14
営業再開したシネコンで、
予告編を頻繁に見かけ、
「これは見なくちゃ」と。
公開初日は、渋谷で『ヴィタリナ』の試写があるため、
映画美学校
その上映時間と都合が合うのは、
試写会場最寄りの
TOHOシネマズ渋谷
ではなく、
最大の売りのIMAXが、
2002年4月25日〜2007年3月31日、
メルシャン品川IMAXシアター(16m×22m/スタンダードサイズ1:1.43)として開館。
閉館後は、
2007年12月21日から、品川プリンスシネマの通常型映画館、
シアターZERO(6.7m×16.5m/シネスコよりさらにワイドだが、HDの9:16ではない)として営業。
2016年7月1日、T・ジョイPRINCE品川IMAXデジタルシアター
として生まれ変わる。
(11.9m×22mと推測:ビスタ比の場合)
グランドシネマサンシャインにお株を奪われて以来、
国内最大となる18.9m×25.8m(高さ×横幅)のスクリーン
すっかり足が遠のいてしまった、
T・ジョイ品川PRINCEに、
実に1年ぶり以上経過しての鑑賞。
キネパスって、何回見ようがフリーパスはもらえないんですよ。
ここでのIMAX以外の通常スクリーンでの鑑賞は、
実に『佐賀のがばいばあちゃん』(2006)とか
『東京フレンズ The Movie』(2006)の頃、
つまり品川プリンスシネマ時代以来ではないか。
〈11スクリーン 2002年4月25日開館〉
日本で唯一のホテル直営によるシネマコンプレックスだったが、
2016年4月1日よりティ・ジョイとの共同運営に移行し、
名称をT・ジョイPRINCE品川に変更した。
さて、肝心の映画『MOTHER マザー』の感想は?
最初から最後までじっくり見入ってしまいました。
描かれている内容や展開はネガティブ=負の連鎖ながら、
訴えている中身はホンモノで強く胸を打たれました。
すさまじい傑作です。
内容や展開は、
『誰も知らない』(2004)や、
『万引き家族』(2018)などの、
是枝裕和(これえだ・ひろかず)監督作品でよく見かける、
社会の底辺や闇にもだえ苦しむ人々の姿が克明に描かれる。
すると『ジョーカー』の時にも見かけた、
支持共感を表明すべきでない人物像が描かれると、
作品全体に拒否反応を示す人をボチボチ散見するハメに。
【証拠画像①】初日の評価分布。いや、不当でしょ!
【証拠画像②】初日のレビュー投稿は2件だけ。いや、これまた不当でしょ!
犯罪やダメ人間っぷりを描いた作品を見たからと言って、
作品を肯定すれば自分も闇落ちするわけもなければ、
作品を否定すれば問題が解決するわけもなく、
作家が頭の中で考えた作り話ではなく、
実際にこういう出来事が起きてしまっており、
現実に起きた事件と実録記が原作となっている限り、
そういうことが起こりうる社会や人のありようを重く見るべきであって、
そこを暴き立てた映画を悪者扱いするなんてどうかしている。
是枝作品との類似性を強く感じたが、
同監督は、
『誰も知らない』(2004)と
『そして父になる』(2013)の間に
『空気人形』(2009)とか、
『そして父になる』と
『万引き家族』の間に、
『海街diary』(2015)とか、
「そんな純粋創作=フィクションよりも、
もっと現実世界で差し迫った問題をえぐり出してくれよ」と、
作品選定のバランス感覚に首をかしげることが多く。
これはドキュメンタリー監督の想田和弘氏や、
山本太郎氏や
枝野幸男氏、
黒川敦彦氏などにも通じるが、
巨悪を特定し、問題点や矛盾点を指摘、抗議の声を上げる姿勢だけは示しながら、
敵に先回りされてふさがれた穴から、
抜け出すような行動を取っても仕方なかろうと、
ずっと彼らに懐疑的ではあった。
しかしこの動画を見続けていると、
2020/7/4
大衆はモリカケあたりから陰謀に気づき、
印象/情報操作に勘づき始めたが、
敵勢力の操作は世紀単位でさかのぼるため、
個々の立場から尽くせる抵抗は、
すくわれた足元が盤石のままの構えで押し通すしかないのも、
しかたないのかと。
……。
脱線したので『MOTHER マザー』に話を戻すと、
同題で『マザー!』(原題:mother!)という2017年にアメリカで公開されたサイコスリラー映画があり、監督はダーレン・アロノフスキー、主演はジェニファー・ローレンス。
日本では2018年1月19日に公開される予定だったが、2017年11月1日にパラマウント映画の意向により公開中止となった。
日本では2018年4月25日にDVDが発売された。
私は未見ですが。
長澤まさみが汚れ役に挑みたかったのは、
『群青 愛が沈んだ海の色』(2009)の頃からで、
元来は過激な性描写が含まれるはずが、
完成版にはそんな素振りもなく。
たしか公開早々に見て、
非常にガッカリしました。
『コンフィデンスマンJP』なんかは、
汚れ役への挑戦の一つなんだろうが、
『MOTHER マザー』の極悪ぶりは、
↓ダー子など、裸足で逃げ出すすさまじさ。
阿部サダヲは、狂気じみた人間を演ずるにピッタリな役者なのに、
なぜか映画では好人物を演ずることが多く、
『なくもんか』(2009)
そのたびに「違うだろ!」と違和感が拭えなかったが、
本作のクズっぷりは、まさにドンピシャリ。
大森立嗣監督は、
初見の印象だったがチェックして、
『日々是好日』(2018)の監督だったと今さらながらに知る。
だが『MOTHER マザー』に限った感想は、
これまで触れたとおり、社会の闇を鋭くえぐる是枝作品の影響が色濃い。
本作の原作題名が、
「誰もボクを見ていない: なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか」と、
くしくも『誰も知らない』と題名がかぶることからもうかがい知れよう。
是枝作品との関連性を示す意味では、
『海街diary』で長澤まさみと姉妹役だった夏帆が、
本作でも重要な役どころで出演している。
左利きが印象に残るが、
とにかく夏帆と言えば、
『小さき勇者たち〜ガメラ〜』(2006)で、
「誰、このカワイイ子?」と印象に残り、
翌2007年の『天然コケッコー』
翌2008年に試写で見た
『東京少女』
『うた魂♪』と、
ひたすら美少女街道まっしぐらだったのに、
『みんな!エスパーだよ!』(未見・2013)の頃からなぜか劣化が激しく、
最近は私の中では、
になり果てていた。
今回の『MOTHER マザー』でも、夏帆の初登場時は少し「ウッ」とひるむものの、
次第に見慣れて拒否反応は減っていく。
……。
何の話だっけ?
とにかく『MOTHER マザー』は、あてにならない低評価に惑わされず、
いちはやくご覧になることをオススメします。