【告知】①
埼玉県草加にある、
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は、本日2018/1/31で閉店です。
【告知】②
「生賴範義 展 THE ILLUSTRATOR」in 上野の森美術館
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ついに2/4(日)まで!
絶対にお見逃しなく!!
いよいよ最終報告!
ただし本日の記事で掲載した画像はあくまでも参考例で、
上野の森に原画が展示されている保証はないので悪しからず。
また、自動変換や転記のためもあり、
生賴と生頼が混在しています。
入場たちまち、
壁には生頼氏の手がけた映画やCMのポスターが張り巡らされ、
タイトルロゴやクレジットの文字類もそのままなので、
「まさか印刷物ばっかりで、原画がないんじゃ…」
と不安になる。
同じ部屋の中央には、
生頼氏が表紙を手がけた本がピラミッド型に積まれている。
これがあの、
生頼タワーか!
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生賴先生の原画は2,500枚以上がアトリエで見つかったのだが、
ポスターや書籍があっても原画が見つからないのが数百点ある。
映画のポスターや書籍も一緒に展示したかったのだが、
有料の展覧会でポスターや書籍を見せること自体、版権問題がややこしくなる。
あのポスターや、あの本の装丁も見てもらいたいという欲求というか、
お客様にとってもニーズは確実にあると思うんだが、
有料催事で映画のポスターとかを出すわけにはなかなかいかないという問題だった。
タローさん、長岡さん、工藤さんと幾度も話し合うけど
断念せざるを得ないよねぇという話にどうしても落ち着いてしまう…
そんな時に逆転の発想が生まれた。
実はH監督や、大手出版社のTさんからの言葉がヒントになったのだが、無料で見せればいいじゃん。
無料で見せる分には個人の所有物を無料で見せるだけなので問題はないはず。
そう、入口の手前に無料鑑賞ゾーンを拵えてあるだけ!
みんな見てもらおう!!!
でもどうやって?
ただ、ケースに入れて見せるのは面白くない。
生賴先生が半世紀にもわたって描き続けた作品を物量作戦で見てもらうにはどうしたらいいか?
ということで考えついたのが
「生賴タワー(誰が名付けたかは知らないが、いつの間にかこう呼ばれるようになっていた)」の誕生である。
施工の坂田さんには無理言って、部屋にギリギリ入る高さと広さで作っていただいた。
当初の宮崎の展示では生賴タワーだけの観覧は無料だったが、
わざわざ来場して、
この無料ゾーンだけ観て帰る人なんていないから、
上野展では有料ゾーンに展示されている。
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というわけで、
今回は画家/イラストレーターとしての生頼範義について書いておこう。
中学生の時に、
ウルフガイの表紙絵で認識した、
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生頼氏の写実的な作品。
私の中学時代の必修クラブは美術部で、
初めて油絵を学んだ。
高校時代の芸術選択も、もちろん美術。
美術教科と美術部顧問の鈴木堅司先生は東京芸大(の前身、東京美術学校)出身で、
油絵の授業は楽しかった。
進学校では主要教科で完全に落ちこぼれた自分を、
絵に関してはとても高く見込んでくれていたから、
高校を卒業してからも親交があった。
なにしろ数学や物理の授業ではとうていかなわず、
東大や一橋大に進学していく超秀才たちが、
絵を描かせると、
「これでホントに頭がいいのか?」
と知性を疑うように絵がヘタクソだったりして、
美術の時間だけは優越感を味わった。
1978年、
高2の時に『スター・ウォーズ』が日本で公開。
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アメリカ本国では、トミー/トム・ジャン(Tom Jung/中国系アメリカ人)
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が描いたポスター、スタイルAの絵柄を、
日本ではセイト/セイトー?(Seito)氏が描き直したが、
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この1978年からすでに、
「生賴範義に描かせればいいのに…」
と考えていた。
まだこの頃の生頼氏は、
『テンタクルズ』(1977)とか、
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『メテオ』(1979)等、
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実際の映画より、生賴ビジュアルの方がはるかにまさる、
キャノンボール的ポスターアーティストだった。
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上空のジェット機など、本編とは無縁に盛りまくりの『キャノン・ボール』ポスター。
※生賴作品ではありません。
生頼氏は東宝の邦画とは付き合いが長く、
1973年の『日本沈没』のポスターも、
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ロゴ中心とは言え、生頼氏が手がけていた。
ジョージ・ルーカスとルーカスフィルムが生賴氏に着眼したのは、
徳間書店の「スペースSF映画の本」
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の折り込み口絵となってるが、
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本当は「侵略の惑星」の方なんだけど、
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↑表紙はラルフ・マクォーリー。
↓生頼氏の折り込み口絵(見やすいように、画像調整)
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版元のサンリオが出版から撤退したこともあり、
徳間書店つながりで処理されることになったようだ。
とにかく、
『帝国』のポスターは生頼氏!という朗報に、
はたしてどんな絵柄かを期待していたが、
最初に見たのがモノクロの新聞広告だったので、
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鮮やかな色使いはまったくわからず、
「写真じゃんか」
が正直な感想。
後日、カラーで拝見し、
その鮮やかで大胆な色使いに見ほれる。
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緑色の背景色は、下絵の時から変わらない。
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私自身も大学が美術専攻だったので、
水彩と油彩では、描きつけるのは紙とキャンバス、
絵の具も筆も異なることを学んでから、
生賴アートの秘密もよくわかるようになった。
鮮やかな色使いは、
速乾性のアクリル絵具を使用しているから。
描き方はほぼ油絵に準ずるが、
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生頼氏の油彩自画像。色使いがいくぶんやわらいでいる。
混色に時間をかけられないため、
絵の具の彩度が鈍らず、鮮やかな原色を維持できる。
くわえてデッサン力の確かさ、
写真的に正確な描写力があるので、
いかにも写真風の仕上がりになる。
この写実の究極能力は、
写真の発明以降、画家からはすっかり廃(すた)れ、
私の大学の教授が見下していた。
写真で代用できる作品は、
純粋芸術(ファインアート)に背く、
コマーシャルアートだと蔑(さげす)まれた。
生頼氏もそれは良く承知くしており、
ご自身を画家(アーティスト)ではなく、
商業イラストレーターと自称し、
そのように振る舞った。
1990年代当時の業界の伝説で、
生頼氏は気むずかしく、
「既知の編集者からの依頼しか受けない」
とか、
「宮﨑の山奥に住んでいて、直接足を運ばないと、
仕事を引き受けない」
とか言われていた。
しかし生頼範義展で、
250点あまりの原画を見ると、
その印象は覆(くつがえ)った。
なにしろ描くことが飯のタネ
なので、
どんな仕事でも請け負っている。
アクリル着彩画、
ペンとインクによる点描モノクロ画
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と技法もぞんぶんに駆使し、
徹底的な写実画と、
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幻想的な抽象画と、
マンガ的な戯画と、
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題材に沿った絵を次々に納品し、
その完成度に偏りがない。
つまり題材によって区別せず、
常に全力投球で手抜きがない。
「前のあの作品に似てますね」
と言われたら、次の仕事はなくなります
という生頼氏のキビシイ言葉を聞かせてやりたい
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生頼氏の仕事の偉大ぶりに話を戻すと、
完成度の高さ、
途中の未完状態がほとんどないことも挙げられる。
理由はもっぱら、自主制作のゆとりがなく、
収入源として絵を描いていたため、
完成させて納品しないと、
成立しなかったから。
しかしそれだと、
準備用の下絵まで途中で終わりにせず、
きちんと仕上げている理由がわからない。
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まずは作品の完成形をイメージし、
そこに到達するまで、手を休めないという仕事のやり方だったからだろう。
これまた、
未完成や未完結の作品ばかりを無責任に発表する作家に見せてやりたい。
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生賴作品が人間業とは思えないのは、
この完成度にも起因しており、
制作の途中過程が見えないため、
本当に人間が自分の手で描いたのか、
とさえ疑うほど。
先に頭の中に完成形が見えていて、
ひたすら作業を積み重ねて、
その完成形まで到達するというやり方は、
DORO☆OFFの作品でもよく見かける。
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生賴作品にガッカリした記憶は、
ほんの一度だけで、
キムタクヤマト=Space Battleship ヤマト
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の絵柄だけ。
ほんとにもう、どうしちゃったの?
って感じである。
上野の森では、ヤマト関連の原画展示はなく、
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ガッカリ作品も見あたらなかったが、
最後の最後に、
なんともすさまじいものを見た。
絶筆となった描きかけの空母の絵は、
未完で終わっているため、
製作の過程が読み取れた。
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排気筒の地色がイエローなので、
まずはアクリル淡彩で黄色を薄く置いた後で、
空母全体が置かれた環境色を塗り重ねて、
全体が統一感のある仕上がりになる…はずだった。
こういう描き方をしてたのか!
ラルフ・マクォーリーの場合、
エアブラシ淡彩もあるにはあるが、
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↑修正前
↓修正後。C-3POのデザインが異なる。
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やむをえず上塗りの際には、
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ミレニアム・ファルコンのデザインが変更されたため、いったん原画を撮影してから、
上描きで修正しているが、これには厚塗りで下絵を塗りつぶすしかない。
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類似の色調をカラーパレットに並べて、
一発厚塗りで絵の具を置いていくという離れ業で、
微妙な中間色や環境色を出しているが、
こと生賴氏の場合は薄塗りの積み重ねで、
段階を経て完成に近づけていたとは!
こうした写実派の画家は、
フォトショップの出現で、近年はすっかり出番がなくなった。
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『グーニーズ』のポスターは、日本では生頼範義だったが、
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アメリカでは、ドゥルー・ストルーザン(Drew Struzan)で、
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これがまた、いいんですよ!
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ボーンデジタル (2015-07-26)
売り上げランキング: 186,762
写真の発明で、
写実画家の末路が断たれたように、
生まれて来る時代を間違えた生賴範義は
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すたれたテクニックで食いつなぐ職人だったが、
現在のアーティストは、
「そんなの、フォトショでやればいいじゃん」
としか思わないから、
今後2度と出て来ないタイプのアーティストであろう。
見逃すとかホント、
ありえませんから!
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