これ(電飾研究/究極の立体エンプラへの道〈7〉)の続き。
新しい情報や資料に事欠いていた、停滞期の1985~86年頃。
新風は、別のところから吹いてきた。
1984年に、SWコレクションを通じて、スティーブ・サンスイートと知りあい、
1985年の冬、当時ウォール・ストリート・ジャーナルの記者だった同氏が、東南アジアで研修講師をつとめたごほうびの日本滞在で、いろいろと世話した私へのお礼にと、帰国後に送ってくれたギフトの中に、
それまで
↓日本国内でマッチボックス箱しか目にしなかった、
↑アメリカ本国の純正amt箱の、エンタープライズ「表面つるつる」(=スムージー)初版を送ってくれた。
日本滞在中に、同行しての道すがらの会話で、
私がスターウォーズだけでなく、
スタートレックも好きだと打ち明けていたからである。
そしてサンスイートは、SWコレクションの下地造りに、
宇宙もののトイや模型も、たくさんコレクションしていた。
↑こんな本まで出していた。
やったぜ!
ここに示す一連の写真は、映画版エンプラの初版の写真をネットから寄せ集めただけで、私が所有していた現物ではありません。
基本的なパネルライン(ディフレクターグリッド)以外にモールドのない、ツルツルで美しい表面。
レインボーステッカー、
電池ボックスと麦球(極小電球)。
インレタ式(こすりつけて定着させる)のデカール(マーキングシール)
と、その内容は、再版以降とは大きく異なる。
これによって、以前に行っていた、
再版にくまなく走る、
醜い木目レンガを削り倒した作業は振り出しに戻り、
美しいエンプラを完成させられる可能性が、思いがけず訪れた。
以下の組写真は、アーサー・ペンドラゴン
(Arthur Pendragon/カルロス・ザングランド Carlos Zangrando の変名)が、
2006年に、
初版キットを再建後続艦NCC-1701-A(アルファ)に仕上げたもの。
誰にでもここまで完成させられるわけではないが、
再版以降のキットを使うよりは、近づけられる可能性はかなり高まる。
逆に言えば、再版のザラザラ版で、ここまで仕上げるのは、まずムリ。
初版の素性の良さとポテンシャルの高さが際立つ。
色々ネットを見て回ったが、amtの1/537スケールの映画版エンプラを、
ここまで仕上げた、おそらく最高峰では?
(一連の写真からは読み取れないが、きちんと電飾も施されています)
作者のアーサー・ペンドラゴン氏は、ネットに公開されている情報を駆使して、
2004年から2005年の、まるまる1年かけて、このレベルに完成させられた、とのこと。
↑この画像のみ、本来の鏡像を正像に修正して公開しています。
より大判画像での閲覧はこちらで。
そこでサンスイートという、新たなアメリカとの太いパイプにより頼み、
一般的な洋書店には入荷されそうもない、マニアックな1冊を手に入れた。
それが、ポール・M・ニューイット(Paul M. Newitt)の、
スターフリート・アッセンブリーマニュアル4
(SFAM4=宇宙艦隊組立要覧第四巻)
4ということは、1~3もあるわけで、
こちらは合冊版が、2004年に再刊されている。
amtのスタトレプラモを、できるだけ撮影用の実物モデルに仕上げるための解説書(マニュアル=便覧)で、このテレビTOS版3冊の好評を受けて、映画版エンプラ版が1982年に出版された。
塗装パターンを、「アズテック(アステカ模様)」と定義した、最初の書物だと記憶している。
細部の修正指示や、
モノクロとはいえ、改造途中の写真、
電飾用回路図と、まさにいたれりつくせりの内容。
アメリカの代表的な電気店(電子部品を扱う店)を、レディオシャック(Radioshack)というのも、この本で初めて知った。
著者のニューイット氏は、マニア誌「エンタープライズ・インシデンツ」にも多く寄稿していた、まさにマニアモデラーの鑑(かがみ)。
↑彼はいた!
ニセタイトル『ブルー・ハーベスト』で秘密裏に撮影中だった、
『ジェダイの復讐』(当時邦題・1983)撮影中の、
アリゾナ州ユマのバターカップバレーに。
↓現在は、カルトTVマンと言うサイトと懇意なようだ。
ニューイット氏は、現在はムスタング(自動車)の専門家として名を馳せている。
つづく。
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「アッセンブリー・マニュアル(SFAM4)」/究極のエンプラへの道〈8〉
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