日本での『スター・トレック BEYOND』(以下『ビヨンド』)

劇場公開もほぼ終了したので、
『イントゥ・ダークネス』(2013)の時には

公開前から進めていた作品研究を、
次回作までの休眠期に、
ちまちま進めて行こうと思う。
しかし『ビヨンド』ぐらい、
評価や好ききらいの別れる映画も珍しい。
どの感想も、そこに至る思考パターンは理解できるが、
賛同できる部分はまちまちなので、
代表的な意見を取り上げて行こう。
旧作のSTを知らず、
2009年のJJ版『スター・トレック』からの

鑑賞組の感想は、
だいたいこんなもんだろう。
ただし、前2作はもちろん、
『ビヨンド』でも、旧作ファンへの気配りが随所にあるので、
それが理解できないのは、
本人に何の責任もないとは言え、
残念な気がする。
次が『ビヨンド』肯定派の代表意見のうち、
しかし前2作にはおよばないとするもの。
次が自分の意見に最も近く、
前2作はもちろん、全ST映画の中でも、上位に位置づけるもの。
同じ観点について、
評価が最初の女性(マリアナ=Marianna)と正反対なのがおもしろい。
〈マリアナ評〉
JJ版2作には、『ビヨンド』は及ばず。
〈HITB評〉
『ビヨンド』の方が、JJ版2作より良い。
その根拠は、
◎キャラクター像の把握
*前2作のカーク(クリス・パイン)は、

「単なる女たらし」という表層的な扱いで、
キャプテンの責任感が希薄だった。
*感情を露わにすることを恥じるバルカン人のスポック(ザッカリー・クイント)も、

前2作では、その発露が不自然で、原典(TOS)にそぐわなかった。
*ウフーラ、チェコフ、スールーは、旧作(TOS→映画)では単なる飾りで、
何の役目も果たしていなかったが、
『ビヨンド』では、それぞれに具体的な役割が与えられている。

『X-MEN: アポカリプス』同様に、待ちの姿勢の無駄なキャラがいない。
◎復讐に燃える悪役、

◎切り札に持っている恐怖の最終兵器、

という、JJ版前2作と共通する要素に、
「またかよ」とウンザリするかと思いきや、
意外や今回はそれが生きた。
クラシックカーやバイク、現代のロック音楽の登場のさせ方も、
2009年版『スター・トレック』よりうまいし、
ST原典からの引用も、
『イントゥ・ダークネス』のようにあからさますぎず、
感動的な場面にあえてセリフがないのも、
サイモン・ペグの脚本の秀逸さを示している。
こうした肯定派と真っ向から対立する、
否定派の論調はほぼ同じで、
創始者ジーン・ロッデンベリーの精神にまでさかのぼり、
それに反するではないかと嘆くもので、
当然、JJ版前2作にも否定的だから、
その延長の『ビヨンド』にも感心できない。
だが、
「戦争や貧困など、現代の社会問題がすべて解決した未来に、人類は何を希求するか」
というロッデンベリーの基本理念はあまりに崇高すぎ、
いまだそうした問題の只中にある、
未熟で好戦的な現代人にはウケなかった。
IMAX版にも、STを知らなそうな若い観客が多数詰めかけていた状況は、
TNG以降のショボイ路線を継承していたらありえなかったから、
私としては、「そこまで原則論に戻られたってなあ」と言う気がしてしまうのが正直なところ。
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