今回は、このブログではめずらしく書評です。
(ただしテーマのくくりは「ウルトラマン」)
ウルトラマンが泣いている 円谷プロの失敗
※該当書には、ウルトラ関連イラストや写真は一切掲載されてませんのでご注意下さい。
この本(「ウルトラマンが泣いている 円谷プロの失敗」)のことは、
講談社
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こちらのブログ(非生産的無用機械趣味のページ)で知り、
18日発売の新刊を、amazonで14日に注文。
4日も前に注文しときゃ、発売日には手元に届くだろうとタカをくくっていたが…甘かった。
amazonは近場(千葉県八千代市)に巨大な配送倉庫がありながら、
在庫は最低限しか抱えない方針のため、大阪から埼玉県への配送で、ようやく21日の金曜日に到着。
その晩、一気に読み終えた。
まず感想を述べると、
本当に読んで良かった。
読んでて涙が出て来ましたが、それは意外や会社やウルトラマンにまつわる部分でなく、著者の実体験を綴った箇所でした。
当事者でなければ知り得ない事実関係が延々と赤裸々に綴られており、しかし視点はいたって公正で、偏りや他者を責める姿勢はないので、
タイトルの「ウルトラマンが泣いている」の着地点もソフトで、現体制を揶揄するものではないようです。
私自身も含む大方に予想されたような〈下世話な暴露本〉とは趣が異なり、抵抗感なく読み進められることもあって、たいへんに存在意義のある1冊と言えるでしょう。
内容については、本稿ではあえて深く立ち入りません。
以下、少し関連事項をば。
円谷一族は難読漢字のオンパレードで、
Wikiによれば、
そもそも創業者の円谷英二(つぶらやえいじ)氏からして、
本名は円谷英一(えいいち)、
円谷の読みは「つぶらや」ではなく、ホントは「つむらや」だったとか。
1949年までの映画のクレジットでは、円の本字、圓 での
圓谷英二表記と、
「圓谷」の字面(じづら)じゃあ、「永谷園」を連想しちゃうよ。
ますます一般人には読み方がわからなかった。
円谷プロを
「エンタニプロ」だと思っていた(かつての)子供は多い。
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英二氏には3人の息子がいて、長男の名前は無難に「円谷一」(つぶらやはじめ)、
しかし次男は皐、
三男は粲と、
およそ他では見かけることのない、「読み方のわからない名前」だった。
※それぞれ「のぼる」「あきら」と読む。
一(はじめ)氏には3人の息子がいて、
昌弘(まさひろ)、
英明(ひであき/この本の著者)、
浩(本名・寛/ひろし)。
円谷浩氏は「宇宙刑事シャイダー」で主役を演じた役者。
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皐氏には一夫(かずお)という一人息子がいて、
粲氏には子供の記述が見あたらない。
円谷浩氏について、「なんで円谷プロの人間が、東映のヒーローものに?」と誰もが感じるように、円谷一族の宿命は、円谷プロと、ウルトラマンの関係者としか世間にみなされないことである。
実際、この本でも、円谷プロと、
円谷エンタープライズ(1968年設立)、
円谷映像=円谷エンターテインメント、
円谷コミュニケーションズ=円谷ドリームファクトリー(Wikiに項目・記述なし)、
円谷音楽出版(Wikiに項目・記述なし)=現・円谷ミュージック?と、
個々の会社について、きちんとわかりやすく違いを解説しているにもかかわらず、読み手の立場としては「円谷プロの系列でウルトラマンの会社」としか頭に入って来ない。
それはくしくも、円谷皐も円谷粲も、どちらも「読み方が分からない円谷一族の人」として、ハタからは、まるで見分けがつかないのと良く似ている。
著者の英明氏は、親の七光りや一族の遺産に頼らなかった(頼れなかった)苦労人で、現在は失意の渦中にあるが、いずれは名を為す人物だと思う。
だが復権の際には、二者択一を迫られる。
可能性はかなり低いが、ウルトラマン復活の立役者として円谷プロに返り咲くか、
あるいは全くウルトラマンとは別個のタイトルで勝負するか。
ただし後者の場合、たとえ本名であろうと、会社や団体は「円谷」を冠するべきではない。
なぜなら世間の認識が、「円谷=ウルトラ」という固定観念は、もはや覆(くつがえ)りようがないからである。
たとえば復権の「のろし」となりうるこの本だって、著者の現状(全く異業種)が契機でなどあり得ず、円谷一族だからこそ出せたんだしね。
私を見ろ!
小説を何本書けても、現況(無名で出版実績なし)ってだけで、1冊も出版社から出せないんだから(笑)。
この一点だけでも、円谷英明氏は「恵まれて」いるんだよ。
----などと、くしくもかつて、同じ名前、英明(えいめい)で本に携わっていた者が言ってみたりする。
くじけるな!
お互いに。
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円谷 英明
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