私、ここのところ諸事情により、
ほとんど「引きこもり/一人鎖国」状態なので、
もっぱら我が長崎の出島(情報源)はネット。
それも日本国内よりも海外が多く、
たとえ日本国産タイトルでも、事情は同様。
というわけで、
今回は、
生賴範義の宇宙戦艦ヤマト
で、記事元は、
一連の小沢さとる版ヤマト
「ギンガ、ギンガ、ギンガ」の時と同様に、
このサイトの、
この記事。
さらに元記事は、「生賴範義展」(※会期終了)を取り上げた、
宮崎日日新聞の切り抜きの転載から。
↓最大サイズを探して(上・現在は縮小版しか入手不可の模様)、
画像補正すると(中)、
↑図録(下)とほぼ色調が一致するので、
実物の印象もさほど変わらないと思われる。
もう一点の、超巨大戦艦に向かっていくヤマトの後ろ姿ともども、
結局この「生賴範義展」まで、実に35年以上も陽の目を浴びなかった。
さらにこの新聞記事こそが、世間にこの絵の存在を広く知らしめたわけだから、
功績は大いに讃えながらも、
記事本文の「ヘロヘロぶり」には、ウムム感を禁じ得ない。
まず「制作年不詳」となっているが、
そんなの、「さらば宇宙戦艦ヤマト」の1978年に間違いないし。
さらに、依頼主のイメージに合わなかった理由が、
①戦艦大和の実寸に合わせて描いたため
②アニメ版と比して砲塔が小さく、全長が短い
----というのは、事実誤認も甚(はなは)だしい。
①については、
↓戦艦大和(上)とは明確に描き分けている(中)し、
②については、
↑艦首方向からのパースが大きくついた、
一点消失法で描けないわけでもない(下)。
結局、生賴範義は、
既存のヤマトのイメージに捕らわれず、
↓泉口薫氏の確立した、アニメの代表ヤマト像。
↑加藤直之の描いた写実的なヤマトの代表像。
というよりも、イラストレーター/画家の意地にかけて、
あえて既存の絵とは異なるヤマト像を描いたわけで、
氏が作画の参考にした資料は、三面図だけだったと思われる。
広大な宇宙空間を往くヤマトを、うんと引きの絵でとらえれば、
特定の部位に寄ることで発生する像の歪みは軽減され、
各部のバランスは三面図に近づく。
ずんぐりと寸詰まりに見えるのは、
単にアングルの問題。
引き絵を選び取った事と引き替えに、
強制パースによる巨大感演出を手放したぶん、
周囲に随行するコスモタイガーの機影が、
ヤマトの艦本体に、こじんまりとさしかかるという、
大小の対比表現で補間。
このあたりは、ほぼ同時期の「宇宙空母ギャラクティカ」(1978)の、
ラルフ・マクォーリーによる設定画(プロダクションペインティング)に通じるところがある。
ただ当時は、CGもCADも普及しておらず、
生賴氏の画力の確かさを証明する手立てがなかった。
ようやく
↓1996年のカレンダー用のCG像で、CDジャケットに転用されたものや、
↑CADによる最新設計プラモのロングショットで、
生賴氏の正確無比な描写力が証明された。
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↓この動画の雰囲気が、「当たらずとも遠からず」と言ったところか。
まさに、マニュアル(人力)アナログCG!
「生賴範義の宇宙戦艦ヤマト」は、まだ続きます。
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