『トイ・ストーリー4』IMAXレーザー GT 2D
2019/7/25 グランドシネマサンシャイン シアター12 N-19
7/12の日本公開以来、
評価が大きく別れる、
『トイ・ストーリー4』
2019/7/28時点
自分の目で観てみないと、
評価も判断もできないため、
鑑賞を楽しみにしてました。
いや、感心、感動しました!
観る価値ありです!
1作目『トイ・ストーリー』(1995)にはもちろん感心したが、
2作目の『トイ・ストーリー2』(1999/日本公開は2000年3月11日)には心酔し、
劇場公開中に何度かむさぼるように足を運んだ。
やがて『トイ・ストーリー3』が企画中と聞いて、
「やめときゃいいのに」とは思った記憶が。
ディズニーがピクサーを吸収合併(事実上はピクサーによる乗っ取り)で、
看板タイトルで勝負に出ようって、
ずいぶん安直だなあって。
しかし、実際に『3』(2010)を観てみたら、
意外と良くてビックリした。
それでも感心したのはラストじゃなくて、
奮闘努力が尽きて、
オモチャたちがあきらめの境地に至る所。
万策尽きて観念するという、
人間でも誰もが経験したわけではない事態直面に、オモチャの感情表現が、人間に匹敵していたことに感動、落涙。
先日(2019/7/6)放送された、
最後にもすんなり泣きましたけどね。
さて、
『トイ・ストーリー4』が進行中と聞こえた時も、
『3』の時とまったく同じに、
「やめときゃいいのに」と思い、
いざ日本公開されると、
支持と不支持が拮抗し、
低評価の人はかなりショックだった様子が伝わって来る。
これは自分の目で観てみなければ!
それが7/25のIMAX 2Dでようやくかなった。
IMAX上映と言っても純正比率=4:3=1.33:1の天地フルは一度も使わず、
IMAXレーザー/IMAX 2K(MPX)比率(1.90:1≒1.85:1)止まり。
音響では、劇伴音楽が最上の演奏を聴かせ、
公園で子供が押し寄せる兆しの重低音が“ほのめかす”程度で、真価は発揮されていない。
最後に感動!
思わず落涙!
これはすばらしい!
(以下・作品の内容に触れています。鑑賞後にお読み下さい)
1作目『トイ・ストーリー』は、オモチャにも心があって生きているという発想がバツグン。
そのアイディアを存分に生かした作品だった。
『2』にも更に感心したのは、
オモチャの運命=持ち主が大人になればいずれ見かぎる。
その時、心あるオモチャはどうする?
——という、『トイ・ストーリー』ならではの課題/命題に触れたこと。
で、『2』の結論は「アンディだけはオモチャを見捨てない」だったが、
「アンディだって、いずれ大人になるだろ」
と言う疑問が残った。
それで『3』は、
そこのところを深掘りし、
大人になったアンディは、オモチャ好きの子供、
ボニーに譲って、めでたしめでたし。
?????
ボニーだって、いつか大人になるだろ?
というわけで、
『トイ・ストーリー4』は、ボニーがオモチャを見かぎったら、
という部分を深掘りする。
保育園の体験会にいやいや参加したボニーは、
自作のオモチャづくりに興じて、
フォーキーという新キャラを誕生させる。
ボニーはフォーキーに夢中で、ウッディへの興味をなくす。
フォーキーには自己嫌悪感と自己否定観があふれ、
ボニーの束縛から逃れたがり、
ウッディはこれを引き戻そうと必死。
結局ドタバタ劇の末に、
フォーキーがボニーの元に戻って、めでたしめでたし、
……だと見越して鑑賞してたら、
ラストで思わぬドラマの大転換が!
これには思わずホロリ。
やられました。
ウッディは1950年代のテレビ人形劇の糸操り人形が原形で、
とうの昔から糸は外され、
本来のオモチャの役目は果たせなくなっていた。
つまりウッディというオモチャは、
本来のオモチャ=子供の愛玩物としては、
とっくに不良品=用済みだったわけ。
たまたまアンディという物好きな子供が気に入ってくれたけど、
次の持ち主、ボニーはなにせ古くさいウッディに愛想を尽かすのも早かった。
なので今回の『4』では、
ウッディはメインのオモチャ機能のオシャベリボックスさえ除去に無頓着で、
オモチャのままでいたいギャビー・ギャビーにいさぎよく譲ってしまう。
保安官バッジを失うことにもこだわらず、
本来の役職への執着がなくなっている。
かくしてウッディは、完全に本来のオモチャ機能を失って、
まさに木偶(でく)人形と化してしまう。
また、オモチャでも心があれば、
「子供の持ち物」という子供時代を脱して、
大人になり、
人間的成長=独立という道に進むしかなくなる。
それをウッディに先駈けて実行している、
ランプの脇に添える陶器製人形、
表面光沢ツルツルの、
ボー・ピープの勇姿がまぶしく映り、
もう一つの大人への成長の証として、
生涯の伴侶を見つけることにもつながっていく。
というわけで、
『トイ・ストーリー4』は実に考え抜かれたストーリーで、
前作、旧作のリピート/繰り返しに堕してしまわず、
まったく別の解答を示したので、
真にわざわざ新たに作るだけの価値がある、意義ある充実作であり、
『天気の子』が、
『君の名は。』の
無限リピートに堕したのとは正反対、
まさにあっちが「これでいいの?」なら、
こっちは「これでいいのだ!」である。
主要スタッフ総交代がよかったね!
監督:ジョシュ・クーリー
脚本:ステファニー・フォルサム+旧スタッフのアンドリュー・スタントン
『4』に文句を言ってる/低評価の人は、
「童心のままでいいんだ」のディズニー/ピクサー/トイ・ストーリー精神からの逸脱がショックだったんだろうが、ウッディだって心があって生きてるんだから、人間と同じくロマンス成就を祝してやれよ。
自分よりウッディに恋愛で先を越されたからって文句なんか言うなよ。
相手は、1950年代製のオジイサンなんだから。
もちろん、「どうせこうなるんだろ」と見越した方向になかなか話が進まないもどかしさとか、
最後に唐突に発生した友との別れに、バズたちがいさぎよすぎる、
とかもなくはないが、この筋立てのためならよしとしなくちゃ。
何より、心を揺さぶられ、感動、落涙しましたから!
※あくまでも個人の感想です。